今回は、転記ミスの防ぎ方についてご紹介します。 
          
          よくあるご質問などで、「問題用紙には正しい選択肢をチェックしていたのに、解答用紙にはマークミスをしてしまいました。どうすれば、転記ミスは防ぐことができるのですか」というものがあります。
          
          
          さっそく私の考えをご紹介しましょう。 
          
          午前の選択試験は80分の試験時間です。 
          
          それに対して、午後の択一試験は210分の試験時間です。 
          
          社会保険労務士試験の本試験や模試を経験したことがない人は、午後の択一試験の方が時間に余裕がある、と考える人もいます。 
          
          しかし、現実としては、午前の選択試験は、1つの例として平成21年本試験では、 
          
          問1→労働基準法及び労働安全衛生法では、4つの文章を読み、空欄ABCDEを埋めます。 
          
          問2→労働者災害補償保険法では、1つの長い文章を読み、空欄ABCDEを埋めます。 
          
          問3→雇用保険法では、長い1つの文章を読み、空欄ABCDEを埋めます。 
          
          問4→労務管理その他の労働に関する一般常識では、2つの文章を読み、空欄ABCDEを埋めます。 
          
          問5→社会保険に関する一般常識では、長い1つの文章を読み、空欄ABCDEを埋めます。 
          
          問6→健康保険法では、長い1つの文章を読み、空欄ABCDEを埋めます。 
          
          問7→厚生年金保険法では、長い1つの文章を読み、空欄ABCDEを埋めます。 
          
          問8→国民年金法では、2つの文章を読み、空欄ABCDEを埋めます。 
          
          というように、全体で13の文章を読んで空欄ABCDE×8問分=40個 
          
          を80分で解くわけです。 
          
          結論から言えば、80分以内に13通りの文章を読んで、穴埋めを考えたら良いわけです。 
          
          ある程度の学習を積んだ人にとっては、午前の選択試験は、時間が足りないと言うよりも、足切り(基準点3点未満)のほうを気にする試験だと言えるでしょう。 
          
          
          それにたいして、午後の択一試験は確かに試験時間は210分(3時間半)もあります。 
          
          しかし、問題数がABCDEという文章を10問分読むのが7科目あります。 
          
          つまり、5×10×7=350の文章を読むわけです。 
          
          午前の13の文章と比べると350÷13=約27倍もの文章をよむわけです。 
          
          持ち時間は210分÷80分=約2.6倍しかないのです。 
          
          問題を解くための絶対的な時間が、午後の択一試験では足りないのです。 
          
          ですから、あなたのように転記ミスが最初の内は、でてくることも予想されます。 
          
          時間がない→焦る→普段はやらないようなミスが起こる 
          
          という流れとなるのです。 
          
          しかし、あなたは、幸運です。 
          
          模試を受けた最初の段階で、転記ミスを発見したからです。 
          
          「本番でなくて良かった」という幸運を素直に喜んでください。 
          
          という前置きはこのくらいにして、本題に入ります。 
          
          
          択一試験の場合、以前お伝えした「
模試の受け方」の内容の通りに解いていくと良いでしょう。 
          
          そして、転記に関しては、最初から順番にマークシート用紙に移していきます。 
          
          最初の「労働基準法及び安全衛生法」から最後の「国民年金法」まで順番に転記していきます。 
          
          このときに注意して欲しいのは、一気に転記してください。 
          
          つまり、午後4時になったら、転記を始めていくのです。 
          
          逆に言えば、午後4時まではマークシートには一切手を触れません。 
          
          試験開始の13時10分までに試験管の指示通りに名前や受験番号などを書いただけで、13時10分から16時まではひたすら問題用紙を読み、考え、書き込むだけで、マークシートはさわりません。 
          
          午後4時になったら、まだ解けていない問題はおいといて、転記を始めるのです。 
          
          転記はだいたい10〜15分もあれば、できるはずです。転記が終了したら、私の場合は、2回見直すのです。 
          
          問題用紙を開いた1頁から「労働基準法及び安全衛生法」の問1はAを正解肢として選んでいるな、たしかにマークシートにも、Aの部分を塗りつぶしているな。 
          
          問2はBを正解肢としているな、確かにマークシートにもBの欄を塗りつぶしているな・・・と、順番に素早く鉛筆の先で指さししながら確認していくのです。
          
          
          最後まで確認するのに3〜5分かかります。 
          
          2回見直すとして6〜10分かかります。 転記自体は10〜15分でできます。 
          
          つまり、合計で16分〜25分で転記作業と見直し作業全体が終了することになります。 
          
          午後の択一試験の終了時間は16時40分です。 
          
          遅くとも、16時10分には転記作業に入る、そしてそれまではマークシートには一切さわらない。そして見直しも2回する。 
          
          という方法を徹底すれば、転記ミスは防げると思います。 
          
          これが私が推奨する方法です。 
          
          この方法でのポイントはゴール時間から逆算して午後の択一試験の解答は13時10分から16時までの間に終了させるように努力してください。 
          
          試験当日にいきなりやれと言っても、難しいですから、本日以降、模擬試験を受けるときには、時間配分として午後の択一試験の分では、13時10分から16時までに一通り問題を解き終えるようにしてください。
          
          
          とは言っても、どうしても、難しい問題がありますね。 
          
          これは「わからない」「必要以上に時間がかかる」という問題には、大きく「?」のマークを「問1」などの問題番号の左側に書いて、その問題は飛ばして次の問題に進んでください。 
          
          一通り、最後まで問題を解き終えてから、途中飛ばした問題にたちかえって、考えるのです。 
          
          一般的に「労働基準法及び労働安全衛生法」「労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識」「健康保険法」「厚生年金保険法」の4科目に必要以上に時間をとられて、最後の「国民年金法」で、時間をかけたらわかる問題が時間が無くて出来なかったという受験生もたくさんいます。
          
          
          結論から言えば、 
          
          1、労働基準法及び労働安全衛生法 
          
          2、労働者災害補償保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。) 
          
          3、雇用保険法(労働保険の保険料の徴収に関する法律を含む。) 
          
          4、労務管理その他の労働及び試写会保険に関する一般常識 
          
          5、健康保険法 
          
          6、厚生年金保険法 
          
          7、国民年金法 
          
          の7科目で、1と4と5と6という時間がかかる4科目は10点満点中で6点をとれたら万々歳という考え方をしてください。 
          
          残りの2と3と7の比較的高得点をとりやすい科目で平均8点以上とれたらいいのです。 
          
          
          この考え方で、合計点としては、 
          
          6点×4科目=24点 
          
          8点×3科目=24点 
          
          で総計48点あれば、普通は択一試験での合格ラインに達していると思います。 
          
          逆に言えば、1と4と5と6の4科目では、「わからない」「時間がかかる」という科目は1つや2つとばしても良いのです。 
          
          専門学校でくりかえし問題演習をしている人でも、とけない問題ならば、他の人にも解けません。 
          
          まとめます。 
          
          専門学校で学習している人は、午後の択一試験では落ちません。 
          
          専門学校の指導方法を信頼して学習を続けてください。 
          
          ただし、「転記ミス」という「本当にくやしい、くやんでもくやみきれないミス」をすることはさけて下さい。 
          
          午前中にも、80分の試験を受けた後での、午後の3時間半という長丁場のマラソン試験では、単純化できるところは、単純化したほうが人為的なミスは防ぐことが出来ます。
          
          
          問題を解いて転記して、また別の問題をやって転記して、という方法では、長丁場の試験では転記ミスもでやすいと私は考えています。 
          
          社会保険労務士試験の転記ミスなどは、転記作業自体を最初から最後まで一気にすませるということで、改善できると思っています。 
          
          そのためにも、最後の30分を転記作業にあてることができるような時間配分をこれからの模試で練習しておいてください。 
          
          次に、問題を解く順序ですが、私は最初の労働基準法から最後の国民年金法までページ番号通りに進む方法が良いと思っています。 
          
          これは、私の体験談なのですが、全国模試として複数の専門学校の模試をたくさん受けました。 
          
          その間に、午後の択一試験では、いろいろな順番をためしてみました。 
          
          しかし、やはりページ順にするのが結果としては1番良かったです。 
          
          その最大の理由は「時間に無駄がない」ということです。 
          
          ページをめくった最初の問題から順番にやる、と決めていると、途中からスタートすると決めていた問題をさがすまでの時間のロスがないのです。 
          
          どこからスタートしても、どうせわからないような問題は出てくるのです。 
          
          しかし、誰にも解けないような難問がどこに出てくるかわからないのです。 
          
          あなたが、たまたま最初にスタートした科目の1問目が難問だったらどうしますか。 
          
          試験本番では「心理的にパニック」になりますよ。 
          
          今から、2〜3分かけて、その時の情景を想像してみてください。 
          
          それよりは、最初から順番にやる、どうしても「わからない」「必要以上に時間がかかりそうだ」という問題には問題番号の左側に大きく「?」と記入して、次の問題に進む、最後の国民年金法まで一通り書き終えてから、その「?」の問題に戻って考え直す。
          
          
          そして、最後の国民年金法まで一通り終えるまでの時間を減らすように本番までに練習をくり返す、
          
          という作戦とわりきっていれば最初の問題が難問であったとしても、あなただけがその問題を最初にたまたま選んだのではなく、まわりの多くの人も同じように悩んでいるはずだと思うこともできますね。
          
          こういう人達は合格する人達だと私は思っています。 
          
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